アメリカの社会派映画監督のオリバー・ストーンがキューバの国家元首フィデル・カストロにインタビューしたドキュメンタリー映画の『コマンダンテ』を観てきました。
映画の中ではサルサ、ソンをはじめとしたキューバ音楽がBGMで流れ、キューバの風景シーンを彩るとともに、ストーン監督とカストロの緊迫したトークの雰囲気を和らげるのにも一役買っています。
映画は、キューバ(あるいはカストロ)に興味のある人なら、前知識がなくてもカストロの人間的な魅力(実直さ、理想家なのに現実主義的な一面、カリスマ性)を感じて楽しむことができると思いますが、以下の3つの歴史的背景を知っておくと、より一層深く楽しめると思うので、これから見る人のためにマメ知識をご紹介します。
【キューバ革命とは?--1956年のデキゴト】
カストロ、チェ・ゲバラたちによって当時のバチスタ独裁政権(←親米派)を倒した革命運動。
現在のキューバ国民の識字率はほぼ100%だが、革命前は識字率は3割程度しかなかったらしい。
メキシコのイケメン俳優ガエル・ガルシア・ベルナルがチェ・ゲバラ役を演じた『チェ・ゲバラ&カストロ』を見ると、当時の流れがだいたいわかります。

→キューバ革命について(wikipedia)
【キューバ危機とは--1962年のデキゴト】
冷戦時代の真っ最中に、キューバがソ連から核ミサイルを配備しようとして一気に緊張が高まり、あわや核戦争がおきかけた事件。
当時のアメリカ大統領は、あのJ・F・ケネディ。『コマンダンテ』の監督であるオリバー・ストーンが『JFK』という映画をケビン・コスナー主演で制作しています。また、同じくケビン・コスナーがJFK役を演じた『13デイズ』はキューバ危機そのものを題材にした映画なので、合わせてチェックするとわかりやすいかも。
→キューバ危機について(wikipedia)
【エリアンちゃん事件とは?--2000年のデキゴト】
キューバ人少年エリアンちゃん(当時6歳)が、母親らと共にボートでアメリカに亡命しようとした途中にボートが転覆。エリアンちゃんだけが助かり、アメリカで保護されたが、キューバに残っていた父親がエリアンちゃんの返還を求めたことをきっかけに、キューバとアメリカ間の国際問題に発展しちゃった事件。
キューバ人の亡命はしょっちゅう起きていることだが、幼い少年が問題の中心にいたことで、これまでほぼ黙認されてきた「大人の事情」が浮きぼりになり大ゴトになった。最終的にはアメリカ政府(当時は民主党のクリントン政権)がキューバ政府に超特別に協力するカタチで、エリアンちゃんはキューバに戻ったというストーリー。
日本人にはあまりなじみのないニュースですが、『コマンダンテ』では物語後半の論点の一つになってるので、全く知らないとちょっと展開についていけないカモです。
当時の大統領がクリントンじゃなくて、ブッシュだったらもっとモメてたかもしれませんねぇ…。(←これは個人的な感想ですが)
→エリアンちゃん事件について(中南米新聞)

…ちなみに、オリバー・ストーン監督は2002年の『コマンダンテ』用のインタビュー後、カストロの入院前にも追加インタビューをしていて、『Looking for Fidel』という別作品(日本未公開作)を制作しているようです。
→コマンダンテ上映情報はこちら
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