
■Part.2:サルサを長く楽しめる
モチベーションを提供したい!
【amigoken】
---では、日本サルサ協会の具体的な活動内容について伺っていきたいと思います。
MIKA:
そもそもなんですが、サルサの良いところっていうのは、簡単にとりかかれて、なおかつ遊びにいきたいと思ったら踊りにいける場所がたくさんあるっていうところじゃないですか。
他のダンスだったら、ちょっと踊れるようになるのもすごく時間がかかるし、習うにしても半年ぐらいはレッスンを受けないと遊びにいくってところまでならないですし。サルサだと服装も割とカジュアルで、いちいち事前にチケットを買っておかなくてもいいし、料金も安いし。それでいてスペイン語や英語が飛び交って、すごくインターナショナルで楽しいものだと思うんですよね。
HIPHOPや社交ダンスも色んな国でイベントはありますけど、出られる人ってすごく限られる。サルサだと生徒さんレベルでも出場することができる。そういう楽しさっていうのは日本サルサ協会としても残していきたいと思っているんです。よく誤解されるのは、「日本サルサ協会がクラブサルサを潰そうとしてる」みたいに言われるんですけど、そんなことは全然なくって(笑)。
クラブサルサはあって当然だと思いますし、そこでは一般の人が楽しく踊る。一方で、プロだったらアートとして発表できるレベルの場っていうも必要で、その中間に生徒さんレベルも参加できるステージイベントがあるっていう、そういうピラミッド的な形をきちっとつくれれば、それぞれのモチベーションが持ちやすいと思うんです。
---確かに、サルサって色んな楽しみ方がありますから、モチベーションの持ち方もそれぞれですよね。
MIKA:
その一つとして「検定」というのを考えています。
これは来年からやっていきたいのですが、例えば、英会話だと「しゃべりたい」っていう人と「海外にでたい」っていう人と、英検みたいなのを受けるために「勉強としてやりたい」っていうように、色々な目的の人がいるじゃないですか。それと同じで、日本人にとっては「検定」ってモチベーションをキープするのに良い方法なんですよね。
現状だと、ある程度踊れるようになると「クラブで踊れればいいや」って思ってレッスンをやめ、さらに時間が経つとサルサから離れていってしまう人が多いんですよね。「結婚したから」とか色んな理由がきっかけで。
そこで、検定ってものがあることで、クラブで踊るだけじゃない「ここまではやった」っていう目標があれば続けてもらえるかなっていうのがあって。
---チームに入って、パフォーマンスを目標に練習するっていう道もありますよね?
MIKA:
そうですね。
逆説的にいうと、あれだけ各チームができるっていうのは、チームをつくらないと生徒さんのモチベーションをキープできないからとも言えますね。
今、プロの人たちにとってすごく大変なのが、何か発表会とかを目指すチームをつくらないと、結局のところ自分達の生計にかかわるんですよね。だからあれだけ色んな人たちがクローズドクラスっていうのをやっているわけですね。
プロの人たちが踊ることによって宣伝するのは良いと思うんですけど、さらにイベンターもやらなきゃいけない、振付師もやらなきゃいけない、ダンサーもやらなきゃいけない、インストラクターもやらなきゃいけないっていうと、他の業界ではそれぞれ全て別々の職業ってなってるぐらいですから、本当に負担が大きい。負担が大きいと、結局のところ自分達のダンスが犠牲になってしまう・・・っていう構造的な課題があるんです。
プロの人たちもやっぱりまずは自分達が生活をしていくことが大事ですから、日本のほとんどのサルサダンサーの人って、いつしか「ダンサー」じゃなくて「インストラクター」になっちゃうんですよね。
他の業界では一般に「ダンサー」と呼ばれる人たちの方が、その世界を宣伝していく人たちで、このままだと「こういうのがサルサですよ」と言える人たちがいなくなってしまう。
説明が長くなってしまいましたが、つまり協会としてはダンサーはダンサーとしての道を突き詰めていけるよう、バックアップしていき、一般の生徒さんに対しても「検定」というものを提供して、モチベーションを保てるようにしますよっていうことなんです。そうしたサポートがあれば、ダンサーはもっと自分のレベルアップのために時間がとれる・・・そうすれば、日本のダンサーのレベルがもっと上がるでしょうし、ダンサーのレベルupに伴って、クラブダンスのレベルの底上げにもつながると思うんです。
---検定には、そういう狙いもあったんですね。
クラブレッスンもあれば、検定向けのレッスンもある、そしてパフォーマンス向けのチームレッスンもあると。一般の人にとっては選択肢が広がりますね。
MIKA:
そうなんです。サルサ業界には「全体でこういうのがあります」っていう道を前もって示しておいて、生徒さんたちには「自分はコレをやりたい!」って選んでもらえるようになればと思います。
---協会を設立したことによって、MIKAさんの念願の学校への働きかけもできますね。
MIKA:
はい。今はまず大学レベルから、各大学に働きかけをしているところです。これも来年の話なんですけど「学生連盟」みたいなものを立ち上げませんかと提案をしているところです。
サルサのサークルは早稲田・慶応・明治etcで増えてきたところですけど、まだ私的なサークルで、学生達も「サルサは今はやるけど、ずっと続けるものじゃないから」みたいな感じになってるみたいで。他のダンス系のサークルとはモチベーションの持ち方が違うみたいなんですよね。
なので、まずは学生連盟みたいなのを作って、全国の大学対抗のコンペを開催したりですとか、ちょっと体育会のノリなんですだけど、とにかく大学生の間でサルサが盛り上がってくれれば、その後に続いてくれると思いますし、それがだんだんサルサの広がりになってくれるんじゃないかなって。
とはいえ、若いダンサーたちが日本のサルサをリードしてくれるようになるまで、10年ぐらいはかかるんじゃないかなって思いますけどね。それがもっと早く5年くらいになってると嬉しいですね。
また、今後ダンサーになる人、インストラクターになる人、振付師になる人ってそれぞれ違うテクニックが必要だと思うので、それらを上手く仕分けられるようにしたいですね。そうすることによって、それぞれの専門分野にもっと集中できるようになるので。
---日本サルサ協会としての直近の活動といえばJAPAN CUPですね。
MIKA:
そうですね。協会として、まずとりかかれることとしては、競技会(全日本サルサダンス選手権大会 ~JAPAN CUP)を開催してダンサーをサポートしていくことです。
競技会で優勝し、日本代表に選ばれたら賞金もでますし、その後の1年間は日本代表としてサルサ界の中だけでなく、外の世界にでてもらいたいと思います。
ただ、当然それには責任が伴いますね。「優勝したあなた自身がサルサのイメージなのだから、大変だけれども頑張ってくださいね」っていう状況を作りたいと考えています。
あとインストラクターの養成っていうのも重要なミッションなのですが、協会としては、今活動されているインストラクターさん達をランク付けしようとかは考えてないんですね。
なぜなら、今教えている方々っていうのは、もう既に経験があり、経験を基に学んでいらっしゃるし、スタイルがどうとか、コングレスに出たからどうこう・・・ってことではないんです。
私たちは、これから将来インストラクターになる人たちに対して、サルサを教えるにあたっては色んな技術をお伝えする、そういうコースを開催していけたらいいなと考えています。
で、それには現在インストラクターをやっている人たち・・・それは東京だけじゃなく全国の皆さんのそれぞれのスペシャルな部分の力をお借りしたいと思っています。
まずは今まで交流のあった色んな団体とか、地方の団体とか、教室の先生とかにはお声がけをしているところです。
例えばエリック先生(Latin World Production)が関西だったり、ジョナサン先生(Extreme Salsa Entertainment)が静岡だったり、あとフランク先生が仙台で東北サルサコングレスって活動をされたり・・・色々なお友達に声をかけながら活動の輪を広げているところですね。
本当はもっと皆さんに声をかけて、一人ひとりに丁寧に説明をしたいのですが、今は協会を設立したばかりで、やることが本当にたくさんあるので、皆さんに声をかけきれていないっていうのが実情です。なので、今回のあみけんサンのインタビュー記事には期待してます(笑)
---本当にやることがたくさんありますね!
では最後に、皆さんにメッセージをどうぞ。
MIKA:
サルサって、みんなが楽しめる色んな魅力があると思うんです。音楽があって、ダンスがあって、それに付随するラテンの文化があって、すごく深いものだと思うんですよね。そういうものを、もっと皆さんに情報を伝えていけるようにしたいですし、それによってみんなが、もっともっと長~くサルサを楽しんでくれるといいなって思います。
---ありがとうございました!
【武永実花/プロフィール】
8歳からダンスを始め、1994年から3年連続で全日本選手権大会・アマチュアラテンチャンピオンを獲得。2001年キューバ国立民族舞踊団へ短期留学。2002年六本木にダンススタジオ「カシーノ」を開設。ダンスショーやテレビ(ドラマ、CM、バラエティー番組など)での振り付け、ダンサーとしての出演も多数。2009年9月にNPO法人 日本サルサ協会を設立。
<<< Part.1に戻る
<<< サルサ人インタビューtopへ
| ホーム |